6アビリティーのグラフ表示【小学校高学年(5・6年)】

どうもM2です。

多くのお子さんが、専門的なスポーツの教室に通い始める時期は小学校高学年だと思います。中学に上がると部活動がありますので、そのための準備であったり、遊びとしての運動から、競技としてのスポーツに意識が変化する時期でもあります。

今回の6アビリティーのグラフ表示では、ゴールデンエイジの最後の時期である小学校高学年についてです。この年齢までに、神経系の発達はほぼ100%完了していくと言われています。まさに、ここまでに遊びを通して体を動かす能力を高めていったものを、中学に入って運動部で特定のスポーツに活かしていくことになります。

では、グラフをみていきましょう。

6アビリティーをそれぞれ10段階で評価しています。初めてのレッスンが開始時として青線。1年後にオレンジの線のように伸びていくと予測したグラフになります。

運動速度調整力

この時期になると個人差が大きくでてきます。性格や日常生活に大きな影響を受けていると推察しますが、おとなしい子だったり、普段から外遊びをしない子はなかなか伸びません。逆に、活発で勝負事が好きな子は、早く動くことはもともと得意でさらに伸びていきます。ただ、遅く動くことができないケースが多いのも特徴です。グラフの数値は平均をとったイメージになります。

運動空間認知力

小学校2~4年生の時と同様に、球出しのボールをラケットに当てることができない、コートに打ち返すことができない子は多くいます。日常的な遊びで大きなボールには慣れてる子供たちでも、4センチのボールを15センチ幅程度のラケットに当てるのは最初は難しいのです。しかし、ボールつきをしたり「ボールが飛んでいく場所は、ラケットの角度とラケットの動く方向、力加減で決まる」を理解して体を動かし始めると、ほぼ例外なくこの能力は伸びていきます。

運動動作再現力

準備体操をしている様子で、この能力の高さはある程度判断ができます。コーチの動きを正確に真似ができる子は、卓球をさせても見様見真似でできてしまいます。これは、これまでの生活の中で運動学習力や運動脳力に多く影響されていると考えています。こちから見ているとはっきり分かるのですが、できていない子は、こちらの動きをよく見ていないのです。「見て真似よう」という意思が目線で分かります。見ていないのであれば真似ることはできないです。単純に運動脳力が低いと思われるかもしれませんが、これまでの生活の蓄積がこの能力を生み出しています。そして、大人でも同様ですが、特定の動きが苦手というケースも多くあります。例えば、バックハンドはできるが、フォアハンドは全く上手くいかない。または、その逆のパターン。これは肩の関節の柔軟性にも影響していると思いますが、個々人によって特徴があります。コーチ側としては悩ましいのですが、多くのケースではいろいろな肩の運動を繰り返していくことでできるようになる子が多くいます。

運動基本フォーム力

他の年代と全く同じですが、初めの数値は0です。ただし、学童や学校のクラブ活動(週1回の授業)で卓球をしている子もいるため、何となく基本フォームを習ったり真似たりしている子もいます。テニスを習っていた子もフォアハンドロングは、それとなくラケットがおでこの方向に動かします。この時期はゴールデンエイジの後半となり、多くの場合は大人よりも早く基本フォームを習得できます。

運動脳力

小学校2~4年生の時から継続して通っている子のなかで、悪ふざけをして練習に集中できない子が徐々にそういった行動をしなくなっていく事が多く、その変化が大変興味深いです。活発にしゃべりかけてきたり、メンバーとふざけあって走り回ったりすることが少なくなり、コーチとのコミュニケーションも恥しがる様子は、まさに思春期に入っていくことを実感します。そして、考える力も高まり「なぜ?」の質問にも、正しく回答してきます。ほんとに小さい声で(笑)。悪ふざけをせず、理解もしながら体を動かすので、当然ですが技術の習得スピードも加速していきます。一般的には体の成長があるから当然と思われるかもしれませんが、運動脳力の影響はかなり大きいといえるでしょう。

運動学習力

小学6年生になると、多くの子が運動学習力を伸ばしてきます。上述したように、遊びとしての運動からスポーツとしての意識が高まるこの時期は、上達していきたいと思う姿勢のままに技術の習得をしていきます。勉強は苦痛を伴いますが、スポーツは多少ハードな練習でも楽しいと感じることができます。学習という意味では同じなので、ここに教育面でのスポーツの良さがあると私は考えています。

私が指導してきた子供たちの多くに、中学に進学した段階で卓球部ではなく文化部に所属するケースがあります。競技的な卓球教室では珍しいことだと思いますが、とても良いことだと思っています。そもそも、卓球は他のスポーツと比較して、簡単で安全なため運動が苦手でおとなしい子でも始めやすいものだと感じます。なので、サッカーやラグビーなどの競技者からは、正直馬鹿にされている存在であるのは確かです。「運動はしたい。でも目立ちたがりやで活発な人達とは一緒にやるのは嫌」と感じるなら、卓球は最適です(笑)。なので、文化部に所属しつつも、私のところで週に1回程度でもいいから体を動かし、徐々に思った通りに体が動いていくことを楽しむ・・。本当に素晴らしいことを提供していると自負しています。

6アビリティーのグラフ表示【小学校中学年(2~4年)】

どうもM2です。

今回の6アビリティーのグラフ表示はジュニアを取り上げます。ジュニアにも多くのパターンがありますが、代表的なものを複数例示します。まずは1つ目です。

小学校中学年(2~4年)。この頃というは、多くの子が体を動かすこと・汗をかくことが好きです。鬼ごっこを楽しくやっている時期です。なので、レッスンでは運動量を多めにしても一生懸命ついてきます。ただし、体もまだまだ小さく筋力も乏しいのでラケットを扱うことが難しく、9割程度が足踏みをしならがボールをラケットに乗せて10秒間キープできません。

それではグラフをみていきましょう。

6アビリティーをそれぞれ10段階で評価しています。初めてのレッスンが開始時として青線。1年後にオレンジの線のように伸びていくと予測したグラフになります。

運動速度調整力

ゴールデンエイジ(子供の運動能力が著しく発達する時期)のなかのプレ・ゴールデンエイジ(5~9歳)にあたる年代です。この時期は筋力の発達よりも神経系の発達が顕著なので運動速度調整力は大きくは伸びません。

運動空間認知力

多くの子供たちがこの能力を伸ばすことから、ゴールデンエイジの理論が正しいと感じます。決まった場所に球出しをしてもラケットに当てることができなかった子でも、ボールを追いかけ続けることで当たり始めます。はじめからできる子(能力が高い)もいますが多くはありません。

運動動作再現力

運動空間認知力と同じく、始めたばかりでは能力が低い子が多いのですが、毎週毎週高くなっていく子が殆どです。例えば、同じ場所に球出ししたボールをフォアハンドロングで返球する場合、はじめは1球ごと違う方向に飛びアウトしてたものが、徐々にフォアサイドにある網に入れることができ始める。これは、「網に入れるためのラケットコントロール」を同じ動作として再現できているからです。他にも、バックハンドロングで打球後に腕を伸ばせと伝えてもできなかったのが、できるようになり声をかけなくても繰り返すようになります。

運動基本フォーム力

中学年では、トップ選手の名前を知らない子も多く、卓球を見る機会が少ないため、卓球のフォームを明確にイメージできていないケースがあります。なので、ほぼ全員が0と言ってもいいです。しかし、神経系の発達が著しいプレ・ゴールデンエイジは「即座の習得」という動きを見様見真似で体得していく力が高まっていく時期です。そのため、大人に比べると、フォームをイメージできた子からどんどん正しいフォームを覚えていきます。しかも、それが突然起こることもあるため、見学に来る親御さんが急に卓球らしい打ち方をし始めることに驚くことがしばしばです。ここに、スクールで習うことの最も大きな価値を感じる瞬間でしょう。

運動脳力

ジュニアのクラスでは、中学生に対しても沢山の質問をします。そのことで意識的に運動脳力を鍛えていきます。よくある質問に、「どうして狙った方向から右にそれたの?」があります。これに即座に答えられる子はほとんどいません。たいがい「右にボールがいったから」と返答します(笑)こちらの質問に対して珍回答を連発して可愛いものです。しかし、このやりとりがスポーツとは何か。運動とは何か。卓球とは何かを理解していきます。はじめは答えられなかった子が正しく返答できるようになることと卓球の上達は比例しています。なので、私はただ教えるのではなく自分で考え納得いったうえで体を動かしボールを打ち返すことが、この時期に最も大切だと考えています。

運動学習力

小学校中学年になると運動学習力は個別差が大変大きく現れます。性格にもよると思いますが、上達への意識が高く「勝負をしたい」「点数をとりたい」という子もいれば、何となく体を動かす・ボールを打つだけで楽しいと感じてる子もいます。はじめは、卓球というとらえ方では無くボール遊び感覚なので、こちらからの「なぜそうするの」の質問に上手く答えることができなくても、徐々に理解が深まり正確な回答をし始めます。それと同時に技術の習得も高まります。次第に上手くいく方法を体を使って考え始め、例えばラリーを続ける目標数をクリアすることを楽しんだり、ゲームをして点数をとる楽しみを覚え、スポーツとしての卓球を意識するようになります。この段階から高学年に入り継続すると、中学での卓球部へ進む子も数多くいます。本来、人間は体を動かすことが好きです。そして、できなかったことができるようになるという実感。さらに難しいことに挑戦していく欲求の高まり。自ら考えて習得するという思考は人生においても非常に役に立つことだと考えます。

私には息子がいますが保育園児に運動教室に通っていました。この教室は規模が大きくたくさんのお子さんを見る機会がありましたが、全員が指導員の言うことを素直に実行していました(理解できず違うことをする時はある)。当然、指導員のスキルが高いことも影響しますが、注意されて?られるというシーンを殆ど見ることはありませんでした。まだ、悪ふざけをしたいという欲求が少ないのです。

しかし、小学校中学年になると2割くらいの子がコーチの言う通りに行わなかったり、悪ふざけをしてしまいます。例えばバックハンドをするように指示をしても全てフォアハンドで打とうとしたり、強くボールを打たずに当てるだけだと言っても全力でフルスイングしたりします。はたから見ると言うことを聞けない子と映るかもしれません。コーチも問題行動ととらえてレッスン運営が非常に難しく感じます。

こういったケースの場合、6アビリティーのグラフは下記のようになります。

各能力伸びがかなり小さくなることが分かると思います。コーチの指導は、当然技術の向上を目指すものとなるので、この運動学習力が伸びていかない限りは伸ばすことが困難です。また、これは卓球に限らず普段の生活(学校の体育)でも同様であるはずなので、例外なく基礎的な運動が未熟であるため開始時の数値も全て低いのです。では、なぜ運動空間認知力だけ伸びるのかというと、ボールをたた打っているだけで本人の意識とは関係なく伸びていくからです。他のお子さん達と一緒にボールを追いかけ、打ち続けると基本フォーム力は覚えようとできなくても、ラケットにボールを当てる、当てて相手コートに入れる。コーチとラリーを続けるという行為は少しずつできるようになるのです。その点では、運動速度調整力もやや伸びが見られます。

運動学習力とはでも述べていますが、このケースでは上達が見込めないことをコーチの責任にしてはならないと考えています。間違いなく誰が行ったとしても結果は同じです。ただし、誤解がないようにしていただきたいのは、子どもの場合は、長期的にレッスンを継続することで運動学習力は伸びていく可能性が十分あるということです。コーチが諦めて適当に指導をしてはならないのです。本人は、自分が何をしているのか?何をしたいのか?何をしなければならないのか?が分かっていないだけなのです。これは推測ですが、幼児期から成長していく脳の発達が遅れているからだと思います。例えは悪いかもしれませんが、皆さんは、痴ほうの高齢者を指導して思ったように行動してくれないことに対してキレますか?イライラすることはあっても、仕方ないと思えるはずです。これと同じように、「今は仕方のないのだ」と冷静に対処し、これから成長するんだ。成長を手助けできる可能性があるんだと思うことができれば、適当なレッスンはできなくなるはずです。

私の経験上、ボールを全く打ちに行かない、全く動こうとしないお子さんはいません。もし、そうだとしたら辞めているはずです。楽しいと少しでも感じているから来ているのです。なので、形はどうあれコーチとラリーが少しでも続くようになっていれば、運動空間認知力・運動速度調整力は伸びていきますから、本人の中に「できるようになっていく自分」が芽生えれば運動学習力が徐々に伸び、それに伴って他の能力が伸びて、最後に運動基本フォーム力と続き、ようやく「卓球をしている」という状況にもっていくこともできるのです。

6アビリティーのグラフ表示【70代男性元卓球部】

どうもM2です。

健康のために卓球を再開される方のなかで、元ペンホルダーで「せっかくやるならシェーク」と、新たな挑戦をされる方々がいます。年齢を問わずいらっしゃるのですが、今回は70代男性という想定で解説します。

※6アビリティーをそれぞれ10段階で評価しています。初めてのレッスンが開始時として青線。1年後にオレンジ   の線のように伸びていくと予測したグラフになります。

運動速度調整力

過去の運動経験によって個人差がありますが、男性の場合は社会人になっても、テニスやゴルフなどのスポーツをされてきた方が多くいます。運動未経験の女性よりはこの数値は若干高くなります。しかし、年齢的にも大きく伸びません。

運動空間認知力

長年、卓球から離れていたとしても、再開直後は上手くいかなくても、すぐに感覚をとりもどしラリーで空振りなどはしなくなります。全くの未経験者よりは数値は初めから高いのですが、さらに伸びてはいきません。

運動動作再現力

ペンホルダーとシェークハンドではバックハンド系の打ち方が大きく異なります。ペンホルダーは肘の位置を前後に動かし押すように打つのに比べ、シェークハンドは肘を斜め上方向に動かして万歳をするようにラケットを振ります。個人差が大きいですが、運動動作再現力が低い方は、この振る動作が全くうまくできすペンホルダーの押す動作しかできません。年齢とともにこの能力は伸びにくく多くの方はシェークハンドの振る動作ができません。

運動基本フォーム力

運動動作再現力で述べたバックハンドに関連しますが、フォアハンドはフォームに差異がないので伸びしろはありません。バックハンドはシェークハンドの基本フォームが身につかないので数値の変化は1としています。緑の点線は、もし運動動作再現力が仮に高かった場合に、振る動作を習得できたとして大幅に伸ばしています。しかし、こうなれる方は稀です。

運動脳力

元卓球部の方の場合、その当時のレベルにもよってきますが、例えば横回転という高いレベル技術を習得してた場合は、卓球を理論的に理解をされている方が多いです。全くの未経験者よりも当然数値は高くなります。

運動学習力

ペンホルダーからシェークハンドへ。長期間のブランクで卓球は大きく進化している。この現状からシェークとして上達をしていくことに運動学習力は大きな影響があります。なぜなら、新たな動きは「今までのやり方を、まず捨てる」から始まるからです。ここに過去の経験やプライドが邪魔をします。例えば、シェークハンドはやったことが無いけれど卓球はできるから初心者のコースは嫌だという方。6アビリティーでは、運動脳力がいくら高くても基本フォーム力が低い(0)のなら初心者であるととらえています。ここを理解できずにシェークのバックハンドはやりながら覚えるというスタンスでは、バックハンドドライブを習得できずに終わります。このことを説明して納得できるから否かは、この運動学習力にかかっているのです。また、数十年前の卓球よりも現代卓球はバックハンドの率が高く、卓球台から下がらずにプレーします。どうしても下がってフォアハンドを多用する傾向にあり、これを修正するにも過去の自分の卓球経験を捨てる必要があるので、新たなことを受け入れる柔軟な思考と行動が大切になります。

昨今の卓球ブームで、また卓球をやりたいと思われる方は、年代・性別を問わず多くいらっしゃいます。そして、40年も前は、シェークハンドよりもペンホルダーの方が多く活躍していました。時代が変わり、新たにやり始めるというのは新鮮ですし指導者側としても大歓迎です。しかし、イメージ以上にバックハンドの打法が全く異なり、ほぼ全員がこの課題にぶつかります。なので、ここをクリアできるかどうかは、運動動作再現力の能力の高さと運動学習力の過去を捨てらえる柔軟性と素直さによって、シェークハンドとしての上達は大きく変わります。私の過去の経験からすると、高齢であればあるほど、「ペンホルダーの方がシェークハンドで打っているように見える」というのが残念ながら現状です。その方の思考を変えることは困難ですからここは、指導者側としての限界を感じるところであり、その責任もないと考えています。

6アビリティーのグラフ表示【70代女性運動未経験者】

どうもM2です。

前回の6アビリティーのグラフ表示では、「20代男性テニス中級者」を開始時と1年後にどのようになっていくかを例示しました。過去の経験からすると、このように運動能力が高い方が卓球を習いにくることは稀です。そして、習ったとしても長期間続くかたは殆どいません。

今回紹介するのは、逆に卓球を始める、長く続ける層の方の例です。

70代女性運動未経験者。おそらく卓球界は、この方々に支えられているはずです。地域の体育館・公民館に行くとよく分かりますが、沢山いらっしゃいます。

なぜそうなのか??私が思うに、卓球はケガが少なくて簡単なスポーツだからです。

まさか、この年齢をターゲットにアイスホッケースクール作って受講生バンバン入ってたら、、、、。ある訳ない。

卓球の指導者の多くは、この層の方がを教えることが多いので大変だと思います。その理由を6アビリティーのグラフで説明します。

6アビリティーをそれぞれ10段階で評価しています。初めてのレッスンが開始時として青線。1年後にオレンジの線のように伸びていくと予測したグラフになります。

運動速度調整力

運動経験が少ないため、体を速く動かすことがほとんどできません。全て遅い動作になります。年齢の影響も大きいですが1年後もこの数値は若干の変化しか見込めません。

運動空間認知力

卓球台の上でボールつきができない。ボールを投げても手でキャッチができない。球技経験の無いの特徴ですが、ボールがどのくらいのスピードで動く(落下)かの感覚がないのです。反対に、ボールを的に向かって投げてもらっても、同じ場所にいかない。これは、距離に対してどの力加減が必要か分からないからです。ラリーをしても、初めのうちは空振りばかりが続きます。レッスンを継続することで、この能力は若干は高まりますが、曲がるボールなどに対応することは困難だと予測できます。

運動動作再現力

準備体操が思うようにできません。こちらが示した動作を見様見真似でしてもらうのですが同じ動きでついてくることができません。この場合、視覚情報を体で表現できないので、当然、卓球のフォームを見せても同じ動きができません。また、一度できた動きがあっても、次の週には元にもどっているケースが多く、基本フォームの習得にも時間がかかり、1年後も下回転やドライブなどの技術の習得が困難です。

運動基本フォーム力

ボールつきができない方が、フォアハンドやバックハンドを初日に覚えることは私の経験上ムリです。手取り足取りやったとしても、それを外した瞬間にできませんので、レッスン開始時の数値は0です。しかし、その他の能力より比較的伸ばしやすいのも事実です。例えばフォアハンドであれば体の横で打球しておでこ付近までフォロースルーして打つことが95%以上の方ができるようになります。明らかに、ボーリング場でピンポンをやっている若者よりも理にかなったフォームでラリーします。ぎこちなさは残ったとしても、地道に何度も繰り返し基本フォームを正しく繰り返すことで殆どの方が成果をだせるものだと私は考えています。(コーチの努力が必要ですが)

運動脳力

この方のように運動経験が乏しい方は、運動が上達するにはどうしたら良いかが分からない方が多いです。例えば、「ボールつきができない理由が、ラケットの傾きで同じ場所に落下できない」だと分かれば、インパクトの瞬間にコントロールするはず。しかし、この理由を探そうとしないのです。上手くいかない事実だけに??がつくだけです。私がなぜだと思います?と聞いて初めて「う~~ん」となる。運動の経験があれば、課題の解決を探る行動や思考が働きますが、これがないと技術の習得はなかなか困難です。そして、個人差はありますが、高齢の場合には何年してもこの能力が伸びない方が多いのも事実です。

運動学習力

ご高齢になって卓球を始める方で、やる前から試合で優勝するとか、選手として活躍する夢があるとか、普通に考えて稀です。さすがにご自身の体の状況を考えると負担が大きいはずなので、多くの方は健康のため、生涯にわたって何か趣味を持ちたいといった希望をもっています。運動を習得するには、それなりに苦痛を伴います。なぜなら、自分の体なのに思うようにいかないことを繰り返し行わなければ結果がでないからです。これが、子供の場合は違います。どんどんできることが増えていくので、ある程度難しくても「もう一回頑張る!!」となりますが・・・。特にご高齢の場合には目的意識が競技的になりにくいので、できる範囲で、できないことは無理しない。このような取り組みの姿勢なので必然的に開始時も1年後も変化は大きくみられないのです。

いかがでしたでしょうか?卓球の指導者も含めて運動を教える方ならば共感できることが多いと思います。コーチを始めたばかりの私は、「なぜ、上達できないんだろう」と悩んだ時期もありましたが、6アビリティーで能力を分解していくことで、指導者側の限界値が納得できるようになりました。なので、変に落ち込む必要もないとも思えました。運動学習力の記事でも述べたように、はたからみて上達していないことを全て指導者側に責任があるという考え方に否定的です。もし、このご高齢な方のように6アビリティーで各能力が低い状況を変えるには、特訓という手段しかありませんし、趣味で楽しむなんて甘い考えは一切捨てて、毎日毎日、努力・根性、週3回のジムで筋力を30%アップでやってもらう必要がでるでしょう。そんなことをご本人が望むでしょうか???

そんな訳はないです。ここで重要なのは、無理のない範囲で楽しんで卓球が続けられるのかです。その意味では、基本フォームは美しいだけでなく、体への負担を減らした打ち方になることにつながるので、お金を払って指導をうけるだけの価値があると考えます。

以上のように、6アビリティーでとらえると現時点、将来にわたっての上達についても予測がつきますし、受講者の目的意識も正確にとらえることができればご本人が無理だと思っていることを、なんとか上達させると指導者がムキになることも、上手くならないと落ち込む必要もないのです。もし、指導者側が責任を感じるとするならば、基本フォームも全く良くならない、ご本人も楽しめていない。来週からボーリングに通ううので辞めさせてもらうわ。と言われた時です。

6アビリティーのグラフ表示【テニス編】

どうもM2です。

6アビリティーについて、それぞれ概要を解説してきました。

この理論が非常に便利だと思うことに、どの受講者がどの能力が高くて、どの能力は今後伸びていく、だからどのようにして指導したらよいか。といったことがコーチ間で具体的に会話ができることです。

例えば、20代男性のテニス中級者を6アビリティーで評価すると次のグラフになります。

6アビリティーをそれぞれ10段階で評価しています。初めてのレッスンが開始時として青線。1年後にオレンジの線のように伸びていくと予測したグラフになります。

運動速度調整力

テニス中級なだけあって、高い数値です。例えばスマッシュを打たせたり、早い速度でフットワークをさせても十分対応。受講者同士でラリーをさせたら、相手の方が返しやすい遅いスピードに調整することもできていました。

運動空間認知力

ゆっくりなラリーであれば、どこに打っても空振りせず返球してきます。ただし、曲げたボールや高く打ち上げたボールにはミスがでるため、変化のあるボールを完全には把握できません。

運動動作再現力

こちらも高い数値です。下回転を出すとネットミスをしますが、ツッツキのフォームをこちらが示すと真似るだけですぐに返球できます。ただし、バックハンドがテニス打ち(体が左を向き、左の空間で打つ)になる、ラケットヘッドが上がったフォアハンドを修正するようにいっても、その癖はとれずラリーの中では卓球の正しいフォームでは打てません。

運動基本フォーム力

習ったことのない方なので、この6つの能力の中で最も低い値です。

運動基本フォーム力とは①でも述べましたが、一般的に卓球を見る機会はトップ選手の試合映像です。彼らが基本フォームでプレーすることはほぼありませんから、イメージでプレースしても基本フォームにりえません。本人も指導者も勘違いしやすいのですが、いくらラリーが続くからといっても「基本ができない初心者」なのです。

運動脳力

いくら運動経験が豊富でも、下回転がどうして下に落ちるのかを初めから知っている人に会ったことがありません。この方もテニスに関してはこの能力が高いかもしれませんが、初めての卓球なので「なぜこうなるのか」を知らない状況では数値が低くなります。

運動学習力

この数値が高いので、おそらく今後もコーチからのアドバイスを真摯に受け止めてレッスンを継続することで順調に上達します。逆に、運動経験が豊富なのにこの数値が低い方がいます。フィジカルで勝負するような競技経験者。例えば、サッカーやバスケットなどの中・上級者で、卓球を「簡単なもの」と馬鹿にしている方がいます。自分に自信がある分、アドバイスを素直に聞き入れずプレーしてしまいます。結果として思ったほど上達をされません。ここに性格や取り組む姿勢が関係してくるのです。

上記のように、開始時では低い数値がありますが、レッスンを継続することによって、特に基本フォーム力を習得していくことでラリーの質が上がり、1年後にはテニス打ちから卓球のフォームへと変化すると予測がたちます。その後も継続してけば、下回転や横回転のメカニズムを理解していくことで、さらにグラフの数値は拡大し中・上級者に向かうことも可能だと判断できます。

6アビリティーは、対象者の現時点でのレベルをグラフ化することができます。卓球に関しての能力を分析できると、何を伸ばしていけばよいのか、今後どこまで上達する可能性があるのかを予測がつくので、指導者側としても大変有効なのです。

次回は、別の方を事例に6アビリティーのグラフ表示を解説していきます。