運動基本フォーム力とは➁

どうもM2です。

前回の投稿では運動基本フォーム力についての概要と、独学ではなく人に習うこと・スクールに通うことの意義を解説しました。今回は、運動基本フォーム力の後編となります。

なぜ、基本フォームが必要なのか?

私は、何百人という未経験者の方を指導する機会に恵まれましたが、この基本フォームを習得した方は、必ず後の技術習得がスムーズです。

いくら運動能力が高くても、「そのフォームで今入っていても・・・後々、上手くいかなくなる」ということが予測できます。言い換えれば、その未来像が分かっているからこそ、ここでフォームを矯正しなければと粘り強く指導することが多くあるわけです。

こだわる理由がきちんとあります。

悪癖は直せないからです。

スポーツ運動学では、長い間繰り返された体の動きを簡単には変更できないとされています。脳が「この動きが良い」としていた場合、これは修正するのではなく、一度、消去してから再度学び直させることが必要とのことだそうです。

指導経験のある方なら、皆さん感じるはずです。

「どうして、この動きを変えられないの・・・・」と。

ちょっと、イラっとくる瞬間ですよね。正直なところ。

それは当然だと思います。人はそもそも「私の言うことを聞いてくれ!!」と思うものです。

昭和のスポ根「おい。お前!!俺の言っていることが、なぜ変えられないんだ~~~!!帰れ~~」(笑)。

今の時代でも、これをしている人は絶対多いですよ。

運動学では、脳科学的にこれが困難であることを明確に証明していますし、確かに、字を書くペンの持ち方を、今すぐにこの正しい持ち方に変えると言われたら「逆に書きにくいいわぃ」となりますよね。

そもそも、基本フォーム力がなぜ必要なのでしょうか?なぜ、後々になって技術習得に影響するのでしょうか?

卓球を例にいくつか紹介します。

まずは、指をそろえましょう

温泉卓球で遊んでいる方がペンホルダーを使われているとき、ほぼ全員がラケットの裏側の3本の指を伸ばして開いて持っています。もう、スマッシュとかバンバン決めて「俺、めっちゃ卓球うめ~~」と言っています。

はい。残念ですがバックハンドのプッシュができなくなります。ループドライブへのブロックが天井に突き刺さります。

スマッシュがネットに突き刺さる前に

上記の方。スマッシュのフォロースルーが毎回左肩のあたりにいきます。点数とって「よっしゃー」って。ガッツポーズで相手を挑発しています。

はい。残念ですが、低いボールをスマッシュすると、面白いほどネットに突き刺さるようになります。

例をあげるときりがないのですが・・・。卓球を習ったことないけど「上手な人」のあるあるです。

このように、今うまくいっていても「基本フォーム」ができていないと、レベルが上がった段階で、その場面で適切な動きができずミスを連発することになります。「応用するためには基本が大事」。足し算が理解できていないのに掛け算や割り算を理解することはできないのと一緒です。だから、未来予想図が描けない初心者のうちに、それが分かる指導者に習ったほうが良いというわけです。

基本フォームを見分けるのは難しい

このように、基本フォームは今だから必要なだけではなく、将来、この技術を習得したいと思ったときにこそ力を発揮するものだと私は考えています。さらに、基本フォームを独学で身に着けるのが難しい理由を解説します。

生徒さんからよくある質問です。

「この間の全日本選手権をテレビで見たんですけど、フォアハンドのラリーをしているのを見たら、コーチが言っている『おでこまで』ラケットを動かしている人がいないんですけど、あれでいいんですか?」

グゥ~~ドな質問。ナイス!!

そうです。トップ選手たちは、フォア打ちするときに、わざわざ基本フォームに忠実にスイングすることは無いです。なぜなら、不必要な動きは省略してしまうからです。

ただし、よ~~く見てみると、確かにフォロースルーはおでこにいっていませんが(そもそもブロックしているケースも多い)、ラケットの軌道は下からやや斜め上に、かつ外から体の中心に動いていることが分かります。彼らのラリースピードは速いですから、おでこほど上に動かしすぎるとオーバーミス。打球後におでこまでスイングしきっていたら間に合わなくなるために、打球後のフォロースルーは「省略」してしまっているのです。だから基本フォームを変化(応用)させてフォア打ちをしています。

と、お伝えすると皆さん『なるほどー』とご納得されます。

このやり取りからわかる通り、基本フォームは応用の技術に隠れてしまうケースが多く、選手たちが基本フォームのまま打球していることはほぼありません。初心者の方が試合映像だけ見てしまうと「今、習っていることと違う」となるのは当然です。卓球の場合は、それが顕著で、初心者が基本フォームと応用フォームを全く見分けることはできないのです。

これも、よく生徒さんにお話しするのですが、初めて下回転サービスを練習するときは、選手たちの真似はやらない方が良いと。「選手たちは下回転をかけられる前提で、相手にそれを読み込ませないために独自の騙しフォームをしています。だから選手が皆同じフォームになることがないのです。選手たちのフォームを真似てサービス練習したら騙されたフォームを覚えるので下回転切れないですよ」と。※卓球では回転がかかっていることを切れると表現します。

そもそも、始めたばかりの方は、ボールが白く回転が分からないため、自分のサーブが切れているどうか知る由もないのです。切れていると思って何回も練習し続けた結果、残念なことに切れないサービスを習得してしまいます。

選手たちの試合を見ることは楽しいですし、上手くなりたいというモチベーション効果はとてもあります。卓球をすごいスポーツだと思って楽しむことは良いことだと思います。

しかし、こと技術習得に関して言えば、それを見てそのまま真似ることは基本フォーム力を鍛えるには逆効果なことが多いのも事実なのです。

以上のように、基本フォームを身に着けるのは、将来の技術習得に非常に重要であり、簡単なようで指導者に習わなければ習得することも実は難しい。これが、運動基本フォーム力です。

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